身近な色に意識を向けて。心が穏やかになる1分マインドフルネス
忙しい毎日の中で、つい時間に追われたり、心があちこちへとさまよってしまったりすることはないでしょうか。特に、子育てや仕事に追われる中で、自分の心の状態に目を向ける時間はほとんど取れないかもしれません。そんな時、ほんの1分でも、心を落ち着け、今この瞬間に戻るための簡単な方法があれば、と感じる方もいらっしゃるかと思います。
「1日1分マインドフルネス」では、日常のささいな瞬間に心を向け、心の穏やかさを取り戻す方法をご紹介しています。今回は、身近な「色」に意識を向けることで、心を整える1分間の練習法をご紹介します。特別な場所や道具は一切必要ありません。あなたが今いるその場所で、すぐに実践できます。
なぜ、「色」に意識を向けることが効果的なのか
私たちの脳は、常に様々な情報を受け取り、思考や感情を生み出しています。過去の後悔や未来への不安、目の前のやらなければならないことなど、思考はとめどなく流れるものです。しかし、その思考の波に飲み込まれてしまうと、心はざわつき、落ち着きを失いがちになります。
マインドフルネスは、「今ここ」に意識を向ける練習です。五感、つまり見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるという感覚に意識を集中することで、思考から一時的に離れ、現実の世界にグラウンディング(接地)することができます。
「色」に意識を向けることは、視覚という最も身近な感覚を使ったマインドフルネスです。目の前の「色」という具体的な対象に意識を集中することで、自然と思考のループから抜け出し、今この瞬間の感覚に心を置くことができるのです。
1分でできる、色に意識を向けるマインドフルネス練習法
それでは、さっそく実践してみましょう。1分間のタイマーを用意できる場合はセットしてみてください。難しければ、時計をちらりと見て「おおよそ1分間」でも構いません。
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一旦、立ち止まるか座るかする まず、今いる場所で、体や心を少しだけ静止させます。立っていても、座っていても構いません。可能であれば、軽く目を閉じたり、視線を柔らかくしたりします。
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身の回りにある「色」に意識を向ける ゆっくりと目を開け、あるいは視線を向け、今、あなたの周りにあるものの中から、特定の「色」に意識を定めます。それは、壁の色かもしれませんし、置物、衣服、植物、窓から見える風景の一部分かもしれません。一つの色を選びます。
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その色の「質」を観察する 選んだ色を、じっと、注意深く観察します。
- その色はどのような色でしょうか。赤、青、緑、黄色…
- 明るい色でしょうか、暗い色でしょうか。
- 濃い色でしょうか、薄い色でしょうか。
- 光の当たり具合で、どのように見え方が変わるでしょうか。
- 近くで見るとどう見えますか、遠くからだとどうでしょうか。
- その色には、どのような質感がありますか(つるつるしている、ざらざらしているなど)。
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思考や感情を受け流す 色を観察している間に、「これは〇〇の色だ」「この色を見ると落ち着くな」「早くこれを終えて次に行かないと」といった思考や、特定の感情が浮かんでくるかもしれません。それは自然なことです。そうした思考や感情が浮かんだことに気づいたら、「思考が浮かんだな」と認識し、 judgmentalせず、ただそっと横に置きます。そして、再び静かに、目の前の「色」そのものに意識を戻します。
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1分間、繰り返す この「色を観察し、思考や感情に気づいたら、再び色に意識を戻す」というプロセスを、1分間続けます。
1分経ったら、ゆっくりと意識を全体に戻し、今の自分の心と体の状態を軽く感じてみてください。
この練習がもたらす可能性のある変化
たった1分間、一つの色に意識を集中するだけで、心にはいくつかの変化が起こる可能性があります。
- 心の静寂: 思考の奔流から一時的に離れることで、心のざわつきが落ち着き、静寂な感覚が生まれるかもしれません。
- 今この瞬間の体験: 過去や未来ではなく、「今、目の前にある色」という現実に意識が向き、地に足がついたような感覚を得られることがあります。
- 感情のスペース: イライラや焦りといった強い感情に飲み込まれそうになった時、意識を外の対象(色)に向けることで、感情と自分との間に少し距離が生まれ、客観的に観察できる余裕ができることがあります。
- 気づきの拡大: 普段は気にも留めない日常の色に意識を向けることで、身の回りの世界の豊かさや美しさに気づくきっかけになるかもしれません。
日常生活での実践シーン
この「色に意識を向けるマインドフルネス」は、忙しい日常の様々なシーンで実践できます。
- 家事の合間: 洗濯物の中から一枚のタオルの色に意識を向ける、キッチンタイルの色を観察する、食料品の色を見る。
- 通勤中: 電車のシートの色、吊り広告の色、車窓から見える風景の色を一つ選んで意識を向ける。
- 子どもといる時: 子どものおもちゃの色、絵本の挿絵の色、描いた絵の色に意識を向ける。
- 仕事中: デスクの上の文具の色、パソコンの画面の色、書類の色に意識を向ける。
- 何かを待つ間: 信号待ちの時、レジ待ちの時、エレベーター待ちの時に、目についた特定の色に意識を向ける。
たった1分でも、こうした短い休息を日常に取り入れることで、心の余裕を少しずつ育むことができるでしょう。継続は力となります。完璧を目指す必要はありません。気づいた時に、気軽に試してみてください。
この簡単な練習が、あなたの毎日の中に、穏やかな時間をもたらす一助となれば幸いです。