日常の「閉める」動作に意識を向ける。心の余裕を取り戻す1分マインドフルネス
忙しい毎日、心の余裕はありますか
家事に仕事に育児にと、日々時間に追われていると、つい目の前のタスクをこなすことで精一杯になり、自分の心の状態にまで意識を向ける余裕がなくなってしまうことがあります。小さなことでイライラしてしまったり、常に何かに急かされているような感覚に陥ったりすることも少なくないかもしれません。
しかし、このような忙しさの中でも、たった1分、意識を向ける時間を設けることで、心に穏やかさや余裕を取り戻すきっかけを作ることができます。特別な場所や時間、道具は一切必要ありません。今回は、私たちの日常生活で必ず行う、ある一つの動作に意識を向けるマインドフルネスをご紹介します。
日常の「閉める」動作に意識を向ける1分マインドフルネス
ご紹介するのは、「何かを閉める」という、普段ほとんど意識しない動作に心を向ける方法です。引き出しを閉める、本のページを閉じる、ドアを閉める、鍋の蓋を閉める、バッグのファスナーを閉めるなど、私たちの周りには「閉める」という動作が溢れています。この一連の動作に、たった1分、意識を集中させてみます。
実践方法
- 何かを「閉める」動作を行う準備をします。例えば、引き出しを閉める、本を閉じる、部屋のドアを閉めるなど、今から行おうとしている「閉める」動作を選んでください。
- 動作を始める前に、一度深呼吸をしてみます。鼻から息を吸い込み、口からゆっくりと吐き出します。
- いよいよ「閉める」動作に移ります。この時、意識をできる限りその動作そのものに集中させてください。
- 手に触れるもの(引き出しの取っ手、本の表紙、ドアノブなど)の感触。
- 閉めようと動かし始めた時の、重さや動きの滑らかさ。
- ものが動いている間の、空気や光の変化。
- 閉まりきる時の音や感触。
- 動作が完了した時の、手の位置や体の感覚。
- これらの感覚に、良い悪いの判断を加えず、ただ注意を向けて観察します。もし途中で「あれもしなきゃ」「さっきのことが気になる」など、他の考えが浮かんできても、それは自然なことです。その考えに気づいたら、「あ、考えが浮かんできたな」と受け流し、再び目の前の「閉める」動作の感覚に優しく意識を戻してください。
- 動作が完了したら、そこで一呼吸置いて、今感じている体の感覚や心の状態に軽く気づいてみてください。
この一連の流れを、おおよそ1分程度で行います。
この練習がもたらす可能性
なぜ「閉める」という動作に意識を向けることが、心の余裕につながるのでしょうか。それは、この動作が「区切り」や「完了」を象徴しているからです。忙しい日々の中では、一つのことから次のことへと慌ただしく移り、それぞれの区切りを意識する時間がありません。
「閉める」動作に丁寧に意識を向けることで、今行っていたことに対する一つの区切りを意識的に作り出すことができます。これにより、思考や感情の切り替えが促され、次の行動へと向かうための心の準備が整いやすくなるかもしれません。
また、このような小さな動作に集中することで、散漫になりがちな意識を「今、ここ」に引き戻すことができます。過去への後悔や未来への不安から一時的に離れ、目の前の瞬間に意識を集中させることで、心のざわつきが落ち着き、穏やかな感覚を取り戻す手助けとなる可能性があります。
忙しい日常での実践シーン
この「閉める」マインドフルネスは、様々な日常のシーンで実践できます。
- 家事の合間: 洗濯機の蓋を閉める時、食洗機を閉める時、食材の袋を閉じる時。
- 育児中: おもちゃ箱や絵本の棚を閉める時、子どもの着替えの引き出しを閉める時。
- 仕事や勉強: ノートやPCを閉じる時、引き出しやキャビネットを閉める時。
- 外出時: ドアや車のドアを閉める時、バッグや財布のファスナーを閉める時。
これらの「閉める」瞬間を、意識的な休憩時間に変えてみてください。たった1分でも、その積み重ねが、日々の忙しさの中での心のゆとりへとつながっていくことでしょう。
まとめ
忙しい毎日の中で、自分自身の心の状態に優しく寄り添う時間を取ることは容易ではないかもしれません。しかし、今回ご紹介した日常の「閉める」動作に意識を向けるマインドフルネスは、場所を選ばず、たった1分あればいつでも実践可能です。
このシンプルな練習を通じて、一つ一つの区切りを丁寧に迎え、心を「今、ここ」に戻す感覚を掴むことができれば、日々のストレスやイライラが少しずつ和らぎ、心の余裕を取り戻すことにつながる可能性があります。
ぜひ、次に何かを「閉める」瞬間が訪れたら、この1分マインドフルネスを試してみてはいかがでしょうか。