手をゆっくり握る・開く。心が穏やかになる1分マインドフルネス
忙しい日常の中で、ふと心がざわついたり、イライラしたりすることはありませんでしょうか。やらなければならないことに追われ、自分の時間を持つことが難しく感じられる日々では、心の余裕を持つことが挑戦のように思えるかもしれません。
そのような時、たとえ1分でも意識的に心を休める時間を持つことが、穏やかな自分を取り戻す助けとなります。「1日1分マインドフルネス」では、忙しいあなたにも手軽に実践いただける、簡単なマインドフルネス練習法をご紹介しています。
今回ご紹介するのは、特別な準備や場所を必要とせず、いつでもどこでも実践できる「手をゆっくり握る・開く1分マインドフルネス」です。体の感覚に意識を向けることで、今この瞬間に立ち戻り、心のざわつきを落ち着かせることが期待できます。
手をゆっくり握る・開く1分マインドフルネスのやり方
この練習は、椅子に座っていても、立っていても、あるいは寝る前にベッドの中でも行うことができます。
- まず、楽な姿勢をとります。目は閉じていただいても、軽く開けていただいても構いません。
- 片方の手、または両手に意識を向けます。
- ゆっくりと、指を丸めて拳を作るように手を握っていきます。この時、手のひらが縮まる感覚、指の関節が曲がる感覚、指の腹が手のひらに触れる感覚、筋肉が使われている感覚など、手の中で起きている様々な感覚に注意深く気づいてみてください。強い力で握りしめる必要はありません。ただ、感覚を観察します。
- 完全に握りきったところで、一瞬その感覚に留まります。
- 次に、ゆっくりと、指を伸ばして手を開いていきます。指が伸びる感覚、手のひらが広がる感覚、皮膚が緩む感覚など、開く過程で変化する感覚に意識を向けます。
- 完全に手を開いたところで、一瞬その感覚に留まります。
- この「ゆっくり握る→開く」の動作を、ご自身のペースで1分間繰り返します。呼吸は自然なリズムに任せてください。途中で他の考えが浮かんできても構いません。気づいたら、優しく再び手の感覚に意識を戻します。
この練習によって期待できること
- 心の切り替え: 手の動きとその感覚に集中することで、頭の中で悩みや心配事が駆け巡っている状態から一時的に離れることができます。
- 今この瞬間に気づく: 体の感覚は常に「今」に存在します。手の感覚に意識を向けることで、過去の後悔や未来の不安ではなく、「今、ここで」起きていることに注意を向ける練習になります。
- 体の緊張緩和: 意識的にゆっくりと手を動かすことで、手や腕、さらには体全体の余分な力が抜け、リラックス効果につながる可能性があります。
- 感情の波を受け流す: イライラや不安などの感情が湧いてきた時、すぐに反応するのではなく、体の感覚(この場合は手の感覚)に意識を移すことで、感情の波を少し離れたところから観察する練習になります。これにより、感情に飲み込まれにくくなることが期待できます。
忙しい日常での実践シーン
この「手をゆっくり握る・開く1分マインドフルネス」は、場所を選ばずに実践できます。
- 子どもが少しの間、静かに遊んでいる間に。
- 洗い物や洗濯機が回っている間の短い休憩時間に。
- 通勤中の電車やバスの中で座っている時に。
- 仕事でパソコン作業の合間に。
- 寝る前にベッドの中で、一日の終わりに心を落ち着かせるために。
- 子どもの言動にイライラしそうになった瞬間に、深呼吸とともに。
まとめ
「手をゆっくり握る・開く1分マインドフルネス」は、たった1分でできる、非常にシンプルな練習法です。毎日続けることで、忙しい中でも心のスイッチを切り替えたり、感情に振り回されそうになった時に立ち止まったりする力が育まれるかもしれません。
まずは、できそうなタイミングで1分間、試してみてはいかがでしょうか。手のひらの中で起きている小さな感覚に気づくことが、心の穏やかさへとつながる第一歩となることを願っています。