乗り物の揺れや音に意識を向ける。心が穏やかになる1分マインドフルネス
忙しい移動時間も、心の休息に
毎日の通勤やお出かけで、電車やバス、車に乗る時間は、ただ移動するためだけの時間かもしれません。しかし、この時間も、少し意識を向けることで、忙しい日々の中で貴重な心の休息時間に変えることができます。
特に、子育てやお仕事で慌ただしい毎日を送られている方にとって、乗り物の中は唯一立ち止まらずに済む時間帯かもしれません。この時間を利用して、たった1分でも心にゆとりをもたらすマインドフルネスを実践してみませんか。
乗り物の中での1分マインドフルネス
この練習は、乗り物に乗っている間に、意識を体の感覚や聞こえてくる音に静かに向けるだけです。特別な道具や場所は必要ありません。座っていても、立っていても実践できます。
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姿勢を整える まずは座っている場合は、座面にしっかりと腰を下ろし、足の裏を地面または床につけます。立っている場合は、両足でバランスを取り、体の重みが足の裏にかかっているのを感じます。 背筋を軽く伸ばし、肩の力を抜きます。 目は閉じるか、視線を軽く落とします。
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乗り物の感覚に気づく 次に、乗り物の動きによって体に生じる感覚に意識を向けます。
- 揺れ:体が前後左右に揺れる感覚、微細な振動などを感じます。座席や手すりに触れている部分の感覚に気づくこともできます。
- 体の重み:座面に触れているお尻や太ももの感覚、立っている場合は足の裏にかかる重みを感じます。
- バランス:体の中心がバランスを取ろうとしている微かな動きに気づきます。
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聞こえてくる音に気づく 次に、耳に聞こえてくる様々な音に意識を向けます。
- 車両の走行音、モーター音
- 周囲の話し声や足音
- アナウンスやチャイム
- 車外の音 それぞれの音を、良い悪いと判断せず、ただ聞こえてくる音として受け止めます。特定の音にこだわらず、様々な音が現れては消えていく様子に気づきます。
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意識を行き来させる 体の感覚と聞こえてくる音の間で、意識を静かに行き来させます。どちらか一方に集中しても構いません。ただ、今この瞬間に乗り物の中で起きている体の感覚や音に注意を向け続けます。 もし考え事や心配事が頭に浮かんできたら、「あ、考えているな」と優しく気づき、再び体の感覚や音に意識を戻します。
これを1分間、静かに行います。
この練習で期待できる変化
乗り物の中での1分マインドフルネスは、忙しい日常から一時的に離れ、今この瞬間に意識を戻す手助けとなります。
- 心の落ち着き: 揺れや音といった外部の刺激に意識を向けることで、頭の中でぐるぐる巡る思考から距離を置くことができます。これにより、心が落ち着きを取り戻しやすくなります。
- ストレスの軽減: 乗り物の騒音や混雑はストレスの原因になることがありますが、それらを「嫌なもの」としてではなく、「今ここにある音や感覚」として受け止める練習をすることで、ストレスへの反応が変わってくる可能性があります。
- 短い休息: たった1分でも、意識的に「今ここ」に集中する時間は、心にとっての小さな休息となります。これにより、移動後により穏やかな気持ちで次の活動に向かうことができるかもしれません。
日常生活での実践シーン
この練習は、様々な乗り物の種類や状況で実践できます。
- 通勤電車やバスの中: 座っている時も、立っている時も、数駅の間だけ試してみる。
- 車(助手席): 同乗している時、窓の外の景色と共に、車体の微かな振動や走行音に意識を向ける。
- タクシー: 短時間でも、体の感覚や車内の音に注意を向けてみる。
子どもと一緒の場合でも、難しい顔をする必要はありません。ただ静かに座り、ご自身の内側の感覚に意識を向けるだけでも、周りの環境に振り回されにくくなる可能性があります。
まとめ
乗り物の移動時間は、私たちの日常の中で意外と多くの割合を占めています。その時間を「ただ過ぎ去る時間」としてではなく、「心を整えるための小さな機会」として捉え直してみることで、忙しい日々の中に穏やかな時間を作り出すことができるでしょう。
たった1分、乗り物の揺れや音に意識を向ける。このシンプルな実践が、あなたの心に穏やかさをもたらす一歩となることを願っております。