心に浮かぶ感情に優しく気づく。心が穏やかになる1分マインドフルネス
感情に振り回される時、心のスペースを
忙しい毎日を過ごしていると、さまざまな感情が心に波のように押し寄せることがあります。予期せぬ出来事にイライラしたり、思うようにいかずに落ち込んだり、先のことを考えて不安になったり。そんな時、私たちはつい感情に飲み込まれてしまいがちです。感情に圧倒されると、心に余裕がなくなり、物事を冷静に判断することが難しくなることもあるでしょう。
しかし、感情そのものは決して悪いものではありません。大切なのは、感情に「気づき」、それと上手に付き合っていく方法を知ることです。ここでご紹介するのは、たった1分でできる、心に浮かぶ感情に優しく気づくマインドフルネスの練習法です。この短い時間を通して、感情との間に少しだけスペースを作り、心の平穏を取り戻すきっかけにしてみてください。
1分でできる「感情に気づく」マインドフルネス
この練習は、特別な場所や道具を必要としません。どこでも、ほんの1分あれば実践できます。
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姿勢を調える 椅子に座っている場合は、背筋を自然に伸ばし、足の裏を床につけます。立っている場合は、安定した姿勢で立ちます。目を閉じるか、視線を柔らかく斜め下に向けても構いません。
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呼吸に意識を向ける まずは、ご自身の呼吸に意識を向けてみましょう。鼻孔を通る空気の流れ、お腹の膨らみやへこみなど、今の呼吸の感覚をただ感じます。呼吸をコントロールしようとする必要はありません。
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心に浮かぶ感情に気づく 呼吸に意識を向けながら、今の瞬間に心の中にどんな感情が浮かんでいるかに優しく意識を移します。それは、喜びかもしれませんし、少しの苛立ち、疲れ、あるいは漠然とした不安かもしれません。
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感情を観察する 特定の感情に気づいたら、「あ、少しイライラしているな」「これは不安という感情かもしれない」と、心の中でそっとラベルを付けます。その感情が良いとか悪いとか、なくさなければならないと考えたり、原因を探ろうとしたりする必要はありません。ただ、「今の自分は、こんな感情を感じているんだな」と、まるで空に浮かぶ雲を眺めるように、客観的に観察します。
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体の感覚にも注意を向ける 感情は体の感覚と結びついていることがあります。その感情が体のどこに感じられるか(例えば、胸のざわつき、肩の重さ、胃の辺りの不快感など)にも、もし気づきがあれば優しく注意を向けてみましょう。
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呼吸に戻る もし感情に強く引き込まれてしまったと感じたら、そっと意識を再び呼吸に戻します。そして、準備ができたらもう一度、心に浮かぶ感情に優しく意識を向けてみましょう。
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終わり 1分が経過したら、ゆっくりと呼吸を何度か繰り返し、準備ができたら優しく目を開け、意識を今の場所に戻します。
この練習で期待できる変化
たった1分の練習ですが、これを繰り返すことでいくつかの変化を感じられるかもしれません。
- 感情との間に距離が生まれる: 感情そのものに「なる」のではなく、「感情を感じている自分」に気づくことができるようになります。これにより、感情に振り回されにくくなります。
- 感情を受け入れやすくなる: 感情を評価せず、ただ観察することで、ネガティブに思える感情も「今の自分の一部なんだな」と受け入れる余裕が生まれます。
- 心の穏やかさを取り戻す: 感情の波に気づき、それに抵抗するのではなくただ観察することで、心のざわつきが少し落ち着き、穏やかな感覚が戻ってくることがあります。
- 反応の選択肢が生まれる: 感情に即座に反応するのではなく、一瞬立ち止まって気づくことで、「どう行動するか」を意識的に選択できるようになります。イライラに任せて強い言葉を使ってしまう前に、一呼吸置くことができるようになるかもしれません。
日常の様々なシーンで実践する
この「感情に気づく」1分マインドフルネスは、忙しい日常のふとした瞬間に取り入れることができます。
- 子どもが言うことを聞かず、思わず声を荒げそうになった時。
- 仕事で小さなミスをして、自分を責めそうになった時。
- 疲れて何もかも嫌になったように感じた時。
- 誰かからの言葉にカチンときた時。
- 通勤電車の中で、何となく気分が沈んでいる時。
感情が強く湧き上がってきたその瞬間に、あるいは少し落ち着いた後に、1分だけ時間を取ってみてください。トイレに立った時、信号待ちの間、休憩時間の一瞬など、短い隙間時間でも構いません。
まとめ
心に浮かぶ感情に優しく気づく練習は、自分自身の心の状態を理解するための第一歩です。感情をなくそうとするのではなく、ただ「あるがままに」観察することから、心の平穏や余裕は生まれます。
たった1分でも、その積み重ねが、感情に振り回されにくい、穏やかな日々へと繋がっていくことでしょう。忙しいあなただからこそ、この1分を、ご自身の心のための大切な時間として取り入れてみてはいかがでしょうか。