思考や感情を「ただ見るだけ」。心が楽になる1分マインドフルネス
忙しい日々に浮かぶ思考や感情との付き合い方
慌ただしい毎日の中で、頭の中が次から次へと浮かんでくる考え事でいっぱいになったり、心に起こる感情に振り回されてしまったりすることはないでしょうか。やらなければならないこと、過去の出来事、将来への不安、そして子どもやパートナーへのちょっとしたイライラなど、様々な思考や感情は自然に生まれてくるものです。
私たちはこれらの思考や感情に無意識のうちに強く反応し、それに巻き込まれてしまうことがあります。考えるのをやめようと思ってもやめられず、一度イライラし始めると、その感情がどんどん大きくなってしまうように感じられるかもしれません。しかし、マインドフルネスの練習は、こうした思考や感情との付き合い方を変える手助けとなります。
1分でできる「思考・感情の観察」マインドフルネス
ここでご紹介するのは、たった1分で実践できる、思考や感情を「ただ見るだけ」のシンプルなマインドフルネス練習法です。特別な準備は必要ありません。座っていても立っていても、どこでも行うことができます。
- 姿勢を整える: まずは、無理のない範囲で背筋を伸ばし、座っている場合は足の裏を地面につけるなどして、安定した姿勢をとります。
- 呼吸に優しく注意を向ける: 数回、自分の呼吸に注意を向けてみます。吸う息、吐く息、その長さや深さはどうでしょうか。呼吸をコントロールしようとせず、ただ観察します。
- 心に浮かぶものに気づく: 呼吸への注意を続けながら、ふと頭の中に考えが浮かんだり、心に何らかの感情(楽しい、悲しい、イライラ、不安など)が起こっていることに気づいてみます。
- 「ただ見るだけ」の実践: ここで重要なのは、その思考や感情の内容を深く掘り下げたり、「なぜこんなことを考えるのだろう」「この感情は良いものか悪いものか」と判断したりしないことです。ただ、「ああ、こんな考えが浮かんだな」「今、少し疲れているように感じるな」といったように、客観的にその存在に気づくだけにします。
- ラベル付けをする(任意): 思考が浮かんだら心の中で「思考」、感情が起こったら「感情」や、もし特定できるなら「イライラ」「不安」のように簡単なラベルを貼ってみるのも良い方法です。これは、その思考や感情に巻き込まれることなく、一歩引いて観察するための手助けとなります。
- 1分間続ける: この観察を1分間続けます。もし途中で思考や感情に強く引き込まれてしまったと気づいたら、自分を責めることなく、再び優しく「ただ見るだけ」の状態に戻ります。
- 練習を終える: 1分経ったら、ゆっくりと意識を練習から解放し、周囲の感覚に戻ります。
この練習から得られるもの
この「思考・感情の観察」練習を続けることで、思考や感情は自分自身ではなく、「心に起こる現象」として捉えられるようになってきます。これにより、思考や感情に感情的に強く反応するのではなく、それらを客観的に見られるようになります。
- 思考や感情との間にスペースが生まれる: 考えや感情にすぐさま行動で反応するのではなく、その間に「一呼吸」置けるようになります。
- 感情に振り回されにくくなる: イライラや不安といった感情が湧き上がっても、それに飲み込まれることなく、ある程度の距離を保てるようになるでしょう。
- 心の負担が軽減される: 頭の中で考え事がぐるぐる巡る状態から抜け出しやすくなり、心のエネルギーの消耗を抑えることにつながります。
忙しい日常での実践シーン
この1分練習は、文字通りどんな隙間時間でも行うことができます。
- 家事の合間に: 洗い物が終わった後、洗濯機が止まるまでの間、子どもが少し遊んでいる隙間などに立ち止まり、1分間だけ自分の心に注意を向けてみる。
- 通勤中や移動中に: 電車やバスを待っている間、歩きながら、乗り物に乗っている間などに、景色やスマホを見るのではなく、自分の心の中を観察してみる。
- 子どもと関わる中で: 子どもが言うことを聞かず、思わずカッとなりそうになった時、すぐに反応する前に一瞬立ち止まり、自分の心に湧き上がった感情を「ただ見るだけ」の1分間を試みる。
- 寝る前に: 一日の出来事や心配事が頭を巡る時、それらの思考を追いかけるのではなく、「思考が浮かんでいるな」と観察してみる。
たった1分間、思考や感情に「ただ気づくだけ」「ただ見るだけ」の練習は、忙しい日々を過ごすあなたの心に、穏やかさとスペースをもたらしてくれるかもしれません。完璧に行う必要はありません。できる時に、できるやり方で、優しく続けてみてください。